○鴨川市議会ハラスメント防止条例
令和6年3月29日
条例第5号
二元代表制の下、市民から負託を受けた議員は、公共の福祉の増進を図ることを基本とするとともに、その役割を深く自覚し、品位と名誉を守り、本市の発展のために尽力しなければならない。
ハラスメントは、相手の人格及び尊厳を侵す人権問題であり、被害者の心身に影響を及ぼし、職務への支障にもつながり、ひいては市民サービスを低下させ、並びに鴨川市議会(以下「議会」という。)に対する社会の信用及び信頼を失わせる行為である。
よって、議会は、全ての議員及び職員が個人としての人格を尊重し、相互の信頼を深め、快適に働くことができる環境を確立することで、地方自治の本旨に基づく互いの役割を十分に発揮することができるよう、ハラスメントの根絶及び未然防止に努めることを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、議員間のハラスメント及び議員から職員に対するハラスメントの防止並びにその根絶のために必要な事項を定め、もって市民から信頼される品格ある議会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ハラスメント」とは、次に掲げる行為をいう。
(1) パワー・ハラスメント 職務上の権限、地位等の優位性を背景に適正な範囲を超えて他の者に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、その者の人格若しくは尊厳を侵害し、又はその者の勤務環境(議員としての活動を行う上での環境を含む。以下同じ。)を害する言動をいう。
(2) セクシュアル・ハラスメント 他の者を不快にさせる性的な言動をいう。
(3) 妊娠、出産又は育児に関するハラスメント 妊娠又は出産に関する他の者の勤務環境を害する言動及び妊娠、出産又は育児に関する制度又は措置の利用に関するその者の勤務環境を害する言動をいう。
(4) 介護に関するハラスメント 介護に関する制度又は措置の利用に関する他の者の勤務環境を害する言動をいう。
2 この条例において「職員」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員並びに同条第3項第1号から第2号まで、第3号、第3号の2及び第5号に規定する特別職に属する職員(議員を除く。)をいう。
(議長の責務)
第3条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶に努めるとともに、ハラスメントと認める行為があったときは、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない。
(議員の責務)
第4条 議員は、市民の代表者として常に高い倫理観をもち、ハラスメントが個人の人格及び尊厳を不当に侵す人権侵害に当たることを認識し、ハラスメントの防止及び根絶に努めなければならない。
2 議員は、自らの行為がハラスメントの疑いがあると他の者から疑われたときは、自ら誠実な態度をもって事実を明らかにし、説明責任を果たさなければならない。
3 議員は、議員間のハラスメント又は議員から職員に対するハラスメントに当たる行為があると認める事態に遭遇したときは、当該行為を行っている議員に対し厳に慎むべき旨を指摘するよう努めるとともに、議長に対し当該事態を報告しなければならない。
(研修等)
第5条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶を図るために必要な研修等を実施しなければならない。
(事実関係の把握)
第6条 議長は、議員から第4条第3項の規定による報告があったとき、又は議員若しくは職員からハラスメントに関する申出若しくは相談があったときは、必要に応じて申出者、相談者又は当事者等に対して事実関係を把握するための調査を行わなければならない。
(対応措置)
第7条 議長は、前条の調査により議員によるハラスメントがあったことを認めるときは、当該議員に対して、指導、助言、注意、氏名の公表等の必要な措置を講じなければならない。
(審査委員会)
第8条 議長は、第6条の調査により議員によるハラスメントがあったことを認めるときは、その解決策を協議するため、必要に応じて審査委員会を設置することができる。
2 審査委員会は、議長からハラスメントに関する審査の申出があったときは、迅速かつ公正に解決策を協議するものとする。
3 審査委員会の組織及び運営については、議長が別に定める。
(被害者等のプライバシーの保護)
第9条 議員は、ハラスメントの被害者及び関係者のプライバシーの保護に十分配慮し、当該ハラスメントに関し職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(議長の職務の代行)
第10条 議長が調査の対象となったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象となったときは議長及び副議長を除く年長の議員がこの条例に規定する議長の職務を行うものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。