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地域の食生活再生などに取り組む市民団体「プロジェクト鴨川味の方舟」(日暮晃一代表)は、平成22年5月に設立。「鴨川のおいしい食べ物で人と町を元気に」を合言葉に、市内で料理教室を実施するなど、幅広く活動しています。会員の皆さんにお話を伺いました。
▲7月10日に行われた料理教室で
鴨川は、千葉県最高峰の愛宕山などが連なる嶺岡山系から、棚田、平野水田地域、そして黒潮が洗う太平洋まで、多様な自然で構成されています。また、日本酪農発祥の地としての牛乳・乳製品、明治天皇即位時の大嘗祭に供えられた長狭米など、歴史的価値のある食材、地域があり、金目鯛やアワビ、サザエ、ヒジキ、ハバノリ、テングサなど、海産物を使った素晴らしい食生活も伝承されています。
しかし、若年層を中心にお手軽な食品が着実に進行しており、おいしい地域食が後退している危機感を感じていました。特に、鴨川は人口減少、高齢化が著しく、このままの食生活を維持することも困難であると。そこで、地域を元気にする方法として、食生活再生活動に取り組んでいこうと、平成22年に立ち上げました。
鴨川の農林水産物や、鰹節・鯖節をはじめとする加工食品、さんが焼きやチッコカタメターノといった風土料理など「鴨川のおいしい食べ物」を、人として食べ続けられるよう、食文化活動を行っていきたいと思っています。健康、栄養を考えるのは当たり前なのですが、あくまで「人と共に食べる楽しさ」など、生活者の目標となる面を活動の中心にしています。人として食べること、すなわち文化としての、社会としての食生活で考えることが基本となります。
会の立ち上げ時に市内12カ所でワークショップを開催しました。同時にアンケートや実態調査なども行い、次世代に伝えていきたいと考えている食べ物があることを確認し、次の22品目に選定しました。
令和3年6月に、農林水産省主催の第5回食育活動表彰のボランティア部門で「農林水産大臣賞」を受賞させていただきました。現在活動する上で、とても励みになっています。
▲農林水産大臣賞を受賞した際にいただいた楯
▲第5回食育活動表彰 プロジェクト鴨川味の方舟 農林水産大臣賞(Youtube)
料理づくりワークショップは毎月、料理教室は年に2回のペースで開催していて、7月は22人の方に参加していただきました。ぜひ、皆さんも気軽に参加していただきたいです。
▲ふれあいセンターで開催
▲「チッコカタメターノ」の作り方を実演
▲「鰹節を見るのも使うのも初めて。こうやって削るんですね」と話す参加者
▲採れたての鴨川産の食材(オオバ、インゲン、ミョウガ)
▲新鮮なアジで作ったさんが焼きは格別
▲今回の献立は、ミョウガ・ワカメの味噌汁、ヒジキ・タマネギのサラダ、ジャガイモ・チッコカタメターノのカレー味煮、さんが焼き、キウイ天
▲今回初めて参加した飯田奈菜さん(21歳・左)と石井美花さん(33歳・右)
飯田さんは「地元が大好きなので、鴨川の味を伝えていきたいです。」とコメント。
石井さんは「転入してきたこともあり、今回鴨川の味を学ぶことができて楽しかったです。特にヒジキサラダがおいしくて、家でも簡単にできそうです。」話していました。
現在、ヨーロッパなど各国で和食が見直されており、食育活動は当たり前の世の中になっています。明治天皇即位時の大嘗祭に供えられた長狭米や日本一の評価がある房州ヒジキ。これら鴨川産の食材に誇りをもち、手軽な食品を燃料補給のように食らいつくのではなく、しっかりと膳揃えをし、みんなが「おいしい」と言い合いながら食べることが必要です。新型コロナウイルスの影響で活動が思うようにいかなかったので、これから定期的に料理教室を開催したいですね。鴨川がますます元気になるよう、地道に活動を続けていきたいと思います。
食生活再生を核とした地域再生を目指し平成22年5月に設立。
「鴨川のおいしい食べ物で人と町を元気に」を合言葉に、次世代に伝えたい鴨川のおいしい食べ物の選定、おいしい食べ方とつくる名人を発掘し、名人から調理法、加工法を教わる、料理教室や講演会などによる市民への普及活動、レシピ本の編集発行などの取り組みが評価され、令和3年6月、農林水産省主催の第5回食育活動表彰のボランンティア部門で、最高賞の「農林水産大臣賞」を受賞。
会員は女性8人、男性3人の合計11人。
▲令和3年6月に農林水産大臣賞の受賞を市長に報告(中央は前代表の滝口巌さん)
※インタビュー内容は令和5年7月10日現在です。