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いよいよ、芸術・文化の秋がやって来ました。
私は、郷土資料館へ向かい、「資料館40年のあゆみ(前期)~鴨川ヒストリア~」を鑑賞しました。郷土資料館は、昭和57年に開館し、今年で開館40周年を迎えました。当館では、開館以来、古代から近現代に至るまでの鴨川の歴史・文化に関わる多くの資料を収集し、調査研究・展示・普及などのさまざまな活動を通して、その成果を公表してきました。この展示会では、これまでに開催した展覧会と、それに伴い収蔵された資料の紹介を通じて、40年に及ぶ当館の歩みを調査結果とともに振り返っています。
展示室に入ると正面に大きな「絵図」が目に飛び込んできます。今回の「鴨川ヒストリア」での大きな特徴は「絵図」です。学芸員の話によると江戸時代、村同士の大きな争いごとは、江戸での裁判によって解決されていたそうです。残された資料の中で、清澄寺と天津村は薪などの山の権利、東条村と浜荻村は漁業の権利、川代村と下小原村は水の利権で、その判決文とそれを示す「絵図」が証拠書類として作成されました。清澄寺と天津村の件は、江戸の大岡奉行による裁きがあったことがわかっています。先人がどういう思いで「絵図」として残したのか想像してみると面白いですね。
また、20年に一度の天津神明宮の式年鳥居木曳祭典の大正時代からの写真、昭和時代の長狭平野の航空写真、昭和4年に鉄道が開通した時の写真などにも、大変興味を惹かれました。
残された史料から歴史を紐解くことは、「過去と現在の対話(イギリスの歴史家 E・H・カー)」であり、「他者(過去)を知り、己(現在)を知る」ことに繋がると言われています。それは今、将来の生き方を考える上で引き出しを増やすことになり、現代を生き抜く知恵を見つけることになるだろうと思います。
この展覧会に限らず、郷土資料館が少しでもその手助けになれば良いと思うと、学芸員は熱く語ってくれました。展覧会は10月10日(月曜日・祝日)まで開催中ですので、ぜひ、お越しいただければと思います。「後期」は来年1月ごろに開催しますので、お楽しみに。