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日蓮聖人の生誕地である小湊地区には、古くから先人たちの言い伝えがあります。市では地域の活性化につなげようと、海中に沈んでいるとされる日蓮聖人ご生誕の地を明らかにし、語り継がれてきた伝説を解明するためのさまざまな調査を実施してきましたが、残念ながら生誕地の発見などには至りませんでした。
そこで、これまでの活動成果をさらに後世に伝えようと「ご生誕800年記念シンポジウム」を開催しました。パネリストは、高野誠鮮氏(総務省のアドバイザー)、寺尾英智氏(立正大学学長)、岩淵聡文氏、近藤逸人氏(東京海洋大学教授)と私の5人です。
皆さんの話を総合すると、初期の誕生寺に関する古文書から、日蓮聖人の生誕地が「安房東條郡片▲(かたうみ?)」と記されていることから、おそらく内浦湾の国道128号線周辺であったことが伺える、ということでした。
私からは、明応地震(1498年)についての古文書の記述「長狭郡の沿岸大海嘯起こり、地盤陥落して人畜共に没し小湊誕生寺破潰す」とあるように、慶長地震(1605年)や元禄地震(1703年)など、100~150周年期で繰り返して太平洋沿岸を襲った大地震を想定すると、おそらく生誕地は海没したり地上に現れたりしたことが予想できるだろう、そして史実を大事にしながら過去からの言い伝えを生かし、地域に夢が膨らむことを期待したい、と話しました。
この鴨川には小湊地区に限らず、日蓮聖人にまつわる言い伝えがたくさんあります。こうしたことを思うと伝説と史実が重なりあって、そこには夢が膨らみます。まちづくりも、その地域の歴史から学ぶことが大切です。それぞれの地域に残る言い伝えを大事にしたいと思います。
これまで「日蓮聖人ご降誕800年プロジェクト」に関わった皆様に改めてお礼を申し上げます。
注:文中の「▲」は解読不能文字