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「みんなみの 嶺岡山の燒くる火の こよひも赤く 見えにけるかも」
これは、「古泉千樫」(こいずみ ちかし)が故郷(吉尾地区細野)を詠んだ歌で、現在の小中一貫校・長狭学園の校歌の一節にも入っています。そして生徒たちは、毎日のように口ずさんでいます。
郷土の偉人の一人である古泉千樫は、鴨川市の出身で、日本の代表歌人である伊藤左千夫、斎藤茂吉、島木赤彦らとともに雑誌「アララギ」の発展に尽くし、「日本近代短歌史」に名を刻んだ歌人です。
この古泉千樫を偲び、過日「第41回古泉千樫追慕短歌大会」が郷土資料館で開催され、出席いたしました。コロナ禍で活動が難しかったようですが、全国各地から選出された75首作品の応募があり12首の入賞作品の内、鴨川市からも3名の方が入賞されました。
ここで、鴨川市在住の方の入賞作品を紹介させていただきます。
押してみて 一人聞きおり 亡き姑の 長病む日びに 鳴らししブザー (飯田とき子さん)
百年の 古き我が家に みどり児の 乳の匂いの 甘く香れり (首藤悦子さん)
田おこしも 農機づかいも 初めての 孫を見守る 畔にならびて (小原静子さん)
短歌や俳句など関心のある中学生に聞いてみたところ、今時の若者は日頃の実生活の中で気付いたことを、スマホに日記風にメモをしていると聞きました。子どもたちも、このように写実を旨とした歌が詠まれるといいですね。
私も、毎週日曜に放映される「NHK短歌」を楽しみにしている一人です。