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第49回消防救助技術千葉県大会の「はしご登(と)はん」の部で安房郡市消防本部鴨川消防署の鈴木友三朗消防士長が優勝し、千葉県代表として8月23日(金曜日)に行われる全国大会へ出場することとなりました。
消防救助技術千葉県大会は、千葉県内の各消防本部(局)の救助隊員が日頃鍛えた救助技術を競い合い、相互の向上を図ることを目的に実施されるもの。5月23日(木曜日)に市原市の千葉県消防学校で行われ、県内30消防本部(局)から524人が参加しました。
7種の種目で競技が行われ、鈴木消防士長が出場したはしご登はんの部には30人が出場。ロープで命綱を作成した後に高さ15メートルのはしごを一気に駆け上がるタイムや安全確実性を競い合うもので、鈴木消防士長は13.1秒で駆け上がり、見事1位に輝きました。
6月11日(火曜日)、鈴木消防士長は長谷川市長を訪問し、消防救助技術千葉県大会の優勝と千葉県代表として8月23日に行われる全国大会へ出場することを報告しました。報告を受けた長谷川市長は「素晴らしい成績、おめでとうございます。全国大会でも日頃の鍛錬、訓練の成果を発揮し、頑張ってください」とエールを送りました。
▲左から、洲永雄治署長、鈴木友三朗消防士長、西川晃司救助隊長、長谷川市長
普段は救助隊として火事や交通事故などさまざまな災害現場に出動し、逃げ遅れた人やけがをしている人の救出活動を専門に行っている鈴木消防士長。千葉県大会優勝の秘訣や全国大会への意気込みなどを伺いました。
「令和5年5月に行われた大会では2位という結果でした。悔しくて、今回は絶対に優勝をしたいと思い、より一層訓練に励みました。その結果を出せて非常にうれしかったです。」
そう話す鈴木消防士長。優勝をするために2つのことを意識したといいます。
「1つ目は、はしごを駆け上がる間に行う『ロープ結索』のタイムを縮めることです。ここでミスをしてしまうと大幅なタイムロスにつながります。より正確に、無駄のない動きで行えるよう訓練をしてきました。」
はしご登はんは、はしごを駆け上がる前に自己確保のロープを結索した後、垂直はしご15メートルを登はんするもの。そのロープ結索の時間は、競技全体のタイムの半分を占めるのだと話していました。
「2つ目は、はしご登はんに適した体づくりを行うことです。はしごを素早く駆け上がるための足の筋肉や、はしごをつかんで体を引き上げるための腕の筋肉を増やすため、ランニングや懸垂を行いました。また体重も軽すぎず重くなりすぎないベスト体重にするため、食生活に注意してコンディションを整えました。」
▲はしご登はん訓練を行う鈴木消防士長
「はしご登はんは、災害建物への進入など救助・消防活動には欠かせない技術。これを磨くことで、住民の安全・安心の確保につなげていきたいです。」
鈴木消防士長は埼玉県出身。大学時代は日本体育大学のライフセービング部に所属し、南房総市内の海水浴客などの安全を守っていたそう。大学卒業後は、海上保安官として海の安全を守っていたといいます。その頃に、陸上救助の現場で素早い対応を行う消防隊員の様子をみて、消防士への転職を考えたといいます。
2020年に消防士に転職。転職後は館山消防署、旧神戸分遣所を経て3年前に鴨川消防署の救助隊員に任命された鈴木消防士長。
「救助隊は、山での遭難事故、水難事故、火災現場などさまざまな現場に出動します。どの現場も危険と隣り合わせの厳しい状況ですが、救助した方からの感謝の言葉をいただいた時や仲間とともに迅速な対応が取れた時は非常にうれしく、やりがいを感じます。」
訓練中の緊迫感のある表情とは変わり、休憩中は他の隊員と楽しく談笑する姿も。普段からコミュニケーションを取ることで、いざという時の現場でチームワークを発揮できるのだと話していました。
▲他の救助隊員と談笑する鈴木消防士長(左)
自身初の全国大会の出場。全国大会でも優勝を狙って訓練に力を入れていきたいと話す鈴木消防士長。
「8月23日に全国大会が行われます。狙うはもちろん優勝です。より一層、訓練や身体づくりに力を入れて、大会に臨みたいと思います。応援してくれているたくさんの方に良い報告ができるよう頑張ります。」
そんな鈴木消防士長に理想の救助隊員像を伺うと・・・。
「多くの知識や技術を持ち合わせ、なおかつそれを現場で発揮できる救助隊員になりたいですね。常に向上心を持って、貪欲に色々なことを吸収したいです。大学時代から『守る』という信念のもと歩んできたので、その道を究めていきたいと思います。」
と力強く答えていただきました。