本文
千葉県、千葉県漁業協同組合連合会、東日本信用漁業協同組合連合会、千葉県漁業士会が主催する「千葉県漁業者活動実績発表大会」が12月7日(土曜日)、県庁で開催されました。この大会は71回目を迎える歴史ある大会で、県下漁村の漁業者グループまたは個人が、日頃行っているさまざまな活動を発表することにより、相互の交流、成果の普及等を図り、もって沿岸漁業等並びに漁村地域の活性化に寄与することを目的としています。
この大会で、鴨川市漁業協同組合太海エビ網組合の江澤誠(えざわまこと)氏が、日頃の活動成果を発表しました。発表課題は、「未来に向けてイセエビの資源管理を振り返る~綿糸網に紡いできた太海の思い~」です。
太海地区のエビ網では、一般的なナイロン網でなく、綿糸網を未だに使用しています。綿糸網は腐敗しやすく切れやすいことから、網の管理に手間がかかる反面、イセエビを必要以上に締め付けないので、良質なイセエビが水揚げでき、加えて、網が磯に根掛かりし放置されても、自然に分解されるので漁場環境の保全に大きく貢献しています。また、綿糸網は漁獲効率が低いこと、網の目合いを大きくし、掛ける網の数を少なくしていること、さらに、操業日数を抑えることで、イセエビの資源量を高水準に保っています。私たちの活動は、世界の共通目標であるSDGsに向かったものである、などと発表しました。
この大会には、鴨川市漁業協組合太海エビ網組合のほか、銚子市漁業協同組合女性部、海匝漁業協同組合不動丸、浜行川支所漁業者グループの4団体が参加し、それぞれの活動成果を発表。その中で、鴨川市漁業協同組合太海エビ網組合の江澤氏が優秀賞を受賞しました。また、受賞した優秀発表は「第30回全国青年・女性漁業者交流大会(全漁連主催)」に推薦されます。
講評では「管理に手間がかかり、経費が高いなどの欠点がある一方、漁場環境や海洋生物の保全に大きく貢献する綿糸網を先輩たちの思いを受け継ぎ、100年以上の長きに渡り使用している持続的な漁業につなげる取り組みである。これまでの活動を自信を持って後輩たちに引き継いでいただけるよう期待している」と、高く評価されました。