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鴨川市平塚「大山不動尊」の木造不動明王坐像、両脇侍立像、附厨子は、千葉県指定有形文化財になっています。大山不動尊はもともと修験寺で、地域の皆さんにより長年お守りしてきました。
先日、大山不動尊で行われた「柴燈護摩(さいとうごま)火渡り祭」に伺いました。地域の皆さんはもちろんのこと、多くの観光客にお出でいただいていました。
ほら貝が山深い大山不動尊周辺の長狭平野に響き渡る中、山伏らが寺の裏山から降りてきました。そして、山伏らの勇壮な諸願成就の「祈祷」が始まり、その後、木の枝に囲まれた特大の護摩壇に火が放たれました。
この護摩壇の正面には、この日にあわせてご開帳となる、初代「波の伊八」こと武志伊八郎信由の作「倶利伽羅龍(くりからりゅう)」が設けられていました。
▲倶利伽羅龍がご開帳
護摩壇が燃え上がり、煙が空高く舞い上がった途端、それまでの青空が急に雲に覆われ、冷んやりとした気配が漂ってきました。
昔からの生業である稲作を、天水に頼っていたこの地方では、「雨乞い」を行う風習がありました。
隣にいた長老はこの空模様を見て感じとり「この時期農家の人たちは雨にすがる思いを大山の不動様にお祈りをしていた」のだと、話してくれました。
▲燃え上がる護摩壇の様子
その後、護摩壇が燃えつきるのを待って「火渡り」が始まりました。炭火を敷き詰めた火の中を修行者(参加者)は、それぞれの願いを込めて裸足で渡っていました。
神秘的な雰囲気に包まれた中でこの勇壮な光景は、多くの地域の参拝者や観光客に感動と精神的な充実感を与えてくれました。
大山寺の「火渡り祭」は、この時期の風物詩として知られています。一度は見ておきたい、古くから伝わる大切な文化行事であることを感じました。
そのほかの写真は、柴燈護摩(さいとうごま)火渡り祭をご覧ください。