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弘化2年(1279)に東条景信により創立した寺で、当初は市内の西町字根本に所在していましたが、元禄の大地震により津波の被害を受けて、現在の場所に移転しました。
市指定文化財の向唐門は、切妻造り茅葺です。1間1戸の妻入りで、主柱は粽(ちまき)つき円柱で、副柱は角柱、いずれも礎石は粒石を用いています。主柱を眉がき、若葉彫りの虹梁(こうりょう)と台輪で結び、台輪の中央に蟇股(かえるまた)をのせ、柱上には平三斗(ひらみつど)をつけ、その上に虹梁をのせ、その中央に笈型(おいがた)をたて棟木を支えています。天井は輪垂木(わだるき)を配した化粧屋根裏で、主柱、副柱とも柱上には前方と左右に木鼻と虹梁に施した若葉彫刻はいずれも図柄が大きく、彫りも深く時代色がうかがえます。
山門の年代は、棟札から文化9年(1812)に改築されていることがわかります。県内にはこの種の形式を持つ建築の残存率が少なく、山門建築の推移を知る上で重要なものです。